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Dr.HARUDr.HARU
一ノ瀬の日々。
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内容が内容なのでワンクッション。

ご注意!!
暗い話…なのはいつものことですが(…)、それに拍車をかけてというかなんというか、救いようのない話になってます。
しかも死にネタちっくです。
さらに、ファイさんだけじゃなく黒鋼さんまで病んでます。
原作のキャラなど跡形もありません。
ついでに言いますと、若干グロい表現…とまではいかないですが、血の描写があります。
苦手な方はくれぐれもご注意下さい。


大丈夫な方は、続きよりどうぞ。



ピッピッと、一定の音で鳴り響く電子音と。
ポタ、ポタ…と。
規則正しく落ちる、水滴の音。
非現実的なその音も、この場所では日常的な音で、逆に聞こえなければ違和感を覚えてしまうだろう。

ポタポタと落ちる水滴の出所を辿れば、三つの大きな袋が目に入る。二つは透明な液体で、残る一つは少し黄みをおびている。そしてその袋を吊るす、ステンレス製の味気ない色をしたスタンドも。
そしてその水滴の行く先は。
半透明な管を通り、そして。


その管の先の針を受け入れている、白くて青白い首筋が。


相変わらず細くて、少し力を加えればすぐにでも折れてしまいそうで。
首筋から視線を上にずらせば、やはり青白く、精気の欠片も見当たらない、そしてぴくりとも動かない顔が見えた。
それもやはり、相変わらずで。


事故が起きたのは、半年ほど前。
それからずっと、ファイはその瞳を開けることはなく。
点滴で得る養分だけで、外からの力で、無理やりに、生かしている。

傷は完全に癒え、体に関してはもうどこにも異常はない。
しかしそれでも、ただひたすらに眠り続ける訳は、恐らく。

目覚めることを、拒んでいるから。
現実を、拒んでいるから。


そのまま、自分の時を止めることを、望んでいるから。


点滴で命を繋ぎとめられている現状など、おそらくファイにとってはただ煩わしいだけなのだろう。
事故に遭う以前から、いつもどこか虚ろで、儚く。
そして口に出すことは無くても、はっきりと、死を、願っていた。
その死をすぐ目前にして、しかしその一線を越えることを許さない現状など、不本意なだけなのだろう。


ひと月ほど前にした、自分自身とのひとつの賭け。
あとひと月経っても、それでもファイが目覚めることが無いのなら。
自分が折れて、ファイの希望を叶えてやろう、と。



そして今日は、その賭けの期限である、最終日。



響く電子音も、ポタポタと落ちる水滴の音も、青白い顔も、針が刺さったままの首筋も。
首筋に当てられた大きなガーゼも、そのまわりにとぐろを巻いている半透明な管も、白いシーツに広がる細い金の髪も。
閉じられた瞳も、掛け布団の下に隠れている細い足首も、折れそうな手首も。


ひと月前と、何ら変わることはなく。



自分は賭けに負けたのだと、認めるまでに要した時間はたったの数分。
その事実に何もショックを受けることもなく、当り前のように受け入れた。

きっと、賭けをした時点でこうなることを予想していたのだろう。
それとも、賭けなどただ理由を正当化したかっただけで、自分はずっとこうすることを願っていたのだろうか。


半年前から、ぴくりとも動かぬこの体。
それはただの、人形だ。


―今、願いを叶えてやる。
待っていろ。
この手でとどめを、刺してやる。




白い首筋に伸びる右手。
隣でとぐろを巻いている管をにぎり、力任せに引っ張る。
べり、という音と共に剥がれるガーゼ、そして次の瞬間首筋に刺さっていた針が抜ける。
静脈が破け、白い首筋と白いシーツに鮮血が舞う。

生命を繋ぎとめる元を断ち、その後は。
その生命自体を、断つために。


血に濡れた首筋に両手を伸ばす。
滑る手首を固定し、力任せに、その首を、押さえつける。
浮き上がる体。
ぐき、と鳴る首と、ごぽ、という音とともに口から吐かれる赤黒い血。


これで、全てが、終わる。
親指に、さらに力を込める。







しかし、そのままファイの顔を見て、愕然とした。
半年間動くことのなかった瞳が、薄く開いていて。
長い間見ることのなかった蒼の瞳からは、じんわりと滲む涙が見えて。
無理矢理に開けた口からは、空気を通さぬ喉で必死に言葉を紡ごうとしていて。



―今更、だった。
少しだけ、目覚めるのが遅かった。
だがその少しの間に、事態はもう取り返しのつかないところまで進んでいて。




狂った歯車は、もう元には戻せない。
この現状を止めることなど、既に不可能だ。



規則正しく鳴り響いていた筈の電子音は、既に体を離れ、ピーッと五月蠅く警告音を鳴らす。
それはこの異常な部屋で、ひとつだけ現実を保っているもので。





その現実の音を振り払うように。





押さえつける親指に、さらに、力を加えた。











電子音が、甲高く、鳴り響く。
それは遠い、現実の音。




********



………。
やっちゃった(ガタガタ)。小心者のくせにこんなものアップしちゃって、私のノミの心臓は潰れちゃいそうです(そんな)。
昔全治5か月程の大けがをしたことがありまして(しかもその怪我とは別の理由で病院に入院していた時に大けがをした)(←ある意味では不幸中の幸い)、手術が終わったあともしばらくごはん食べちゃいけなくて(当たり前ですが)、しばらく首に繋がれた点滴で栄養を摂ってたことがあったのですが。
その点滴を取るときがめっさ怖かったんですよ…!だって首に刺さった針抜くんですよ!首ですよ首…!!

てなことを今日思い出して、そしたらなんだか書きたくなって書いてみた小話でした。

……私ヤンデレ好きかもしれない。どうしよう。(※どうしようにも)



今気づいたけど会話文が一言もないですね!(…)

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